古代史で今を解く


 (2) 2012年10月7日 『維新』の意味するものとは?

 『新党』なるものが、一時ブームかのごとくに乱立した時がありました。しかし、その『新鮮味』は、すぐに失せてしまい、今や名前すら記憶から消えてしまった新党も数知れません。そういった新党なるものの一番の特徴は、自民党政治と本質的には変わることなく、その党名だけが新しいというところにありました。ですから、ほんの数年も経てば、中身は古いことが明らかになり、新鮮味はすぐに消えてしまうといったことになりました。今の民主党も同じです。そして、その最大の役割は、その本体である自民党政治の補強にあり、そういう意味においては十分に役割を果たしてきているのでしょう。
 では、現在の『維新』を掲げる『大阪維新の会』から『日本維新の会』へと橋下大阪市長を中心とする勢力は、いったい何をしようとしているのでしょう。その本質に迫ってみましょう。
 そういった『新党』なるものの一番の『持ち味』は、今の政治に不満を持つ人々に、何かしら期待を持たせるところにあります。過去の『実績』はないが、何かやってくれるのではないかと思わせるところに尽きます。つまり、そういった期待を持たせて自民党政治、今で言えば民自公3党による談合政治に対する批判の受け皿となり、民自公政治のさらなる推進をはかろうとするものです。
 ですから、国民が苦しんで『どうにかしてくれ』という変革のエネルギーを利用して次なる苦しみを強いて、さらに大きくなる変革のエネルギーでさらなる苦しみを強いていくという、ほとんど底なし沼かアリ地獄に国民を陥れていくことになってしまいます。そんな国民だましのような手法でも、テレビや新聞など大手マスコミで毎日報道がされると、多くの国民はそこにしか道が無いように思ってしまいます。民自公政治を、新たな改革と思わせるところに一番の目的があります。
 この一連の流れを理解するには、明治維新も含めたわが国の歴史や、わが国の支配勢力が何者で、今何をしようと考えているのか、それを把握することが根本となります。
 まずは、明治維新についてでありますが、その最大の特徴は、富国強兵と称して国民を大陸侵略へと導くところにありました。その動機は、『唐王朝再興』にありました。つまりは、支配地の奪還です。
 唐王朝は、西暦663年秋、白村江の戦いの直後、この列島を占領し、その支配下に置きます。そして、律令制など唐の制度でこの列島を支配し続けます。以来わが国の人々は、その支配下で収奪され隷属下に置かれ続けます。この列島にやってきた唐王朝の勢力は、唐(藤)を源(原)とするという意味で、藤原氏を構成し、その手下として直接支配にあたったのが武士でした。それは、唐王朝第3代皇帝李治の皇后武則天の時代にこの列島が制圧されたことに起因します。武側天の勢力である武氏、つまり、唐王朝宗家の李氏の外戚であり補完勢力である武氏、それが武士のルーツです。
 この列島を支配下にしていた唐王朝も、あまりに庶民を虐げ税を取り立てるので、大きな反乱を引き起こし、とうとう、907年、朱全忠らに滅ぼされ大陸から追放されます。そして、この列島に流れ着きます。それ以来、この列島を支配し続ける唐王朝の残党勢力は、大陸へ支配者として舞い戻ることが最大の目的となり、その存在意義となりました。
 秀吉の時代、あるいは明治維新以降大陸へ侵略して行ったその動機は、ここに起因しています。
 しかし、第2次大戦での敗北により、その思惑は頓挫します。ところが、彼らは、決してその思惑を捨てませんでした。戦後、『反省』するどころか、強力な核戦力を持つ米軍とともに再度大陸侵略を目指すことにしたのです。それこそが、自衛隊という名の再軍備の動機であり、日米安保条約の本質です。自衛隊の本性は侵略隊であり、日米安保条約の本質は、日米大陸侵略協力条約です。
 再び、大陸で侵略戦争を始めるとなると膨大な戦費が必要となります。その戦費調達が消費税です。今、5%から10%へと引き上げていますが、それはあくまで途中経過であって、さらに15%、20%へと際限なく引き上げると言っているのはその思惑があるからです。そんな思惑を秘めていることがバレてはたいへんですから、社会保障のためだとか国家財政の危機だなどと国民向けの口実をつけているのです。
 こういったわが国の支配勢力の思惑を、まるで改革かのごとくに強力に推し進めようとしているのが、橋下大阪市長を中心とする『維新の会』なのです。橋下氏が大阪府知事に立候補したとき、その支持勢力は民自公でした。そして、今の国会進出のために寄せ集められている国会議員も民主党や自民党からです。それも、民主や自民の痛手にならない比例で当選した議員が中心です。
 大陸侵略に向けた財政基盤は消費税増税で賄うという路線は築きました。次は、大陸侵略の最大の障壁である憲法9条を中心とした憲法の改定です。大陸における戦争行為を合法化するということが憲法改定の最大の目的です。そして、それに対する国民の批判を制圧するには、国民主権を形骸化、あるいは廃止しなければなりません。地方自治体の反対も押さえつけなければなりません。地方自治の廃止です。議員定数削減も道州制も、その本質は、主権在民の否定にあります。つまり、明治憲法の再現です。東京都議会に現憲法の廃止と明治憲法の復活などという時代錯誤もはなはだしい陳情が出され、それに唯一賛成したのが東京維新の会の議員でした。その理由は、わが国の庶民は主権在民などという傲慢な考えを持ってはいけない、天皇を元首とした臣民になれというものです。わが国の庶民を、再び唐王朝の残党勢力の奴隷に陥れようとしているのが、『維新の会』であり、今のわが国の支配勢力です。そして、わが国の庶民を大陸侵略の手先として利用しようとしています。
 しかし、そういったわが国の支配勢力の本性も思惑も、庶民には全く見えなくされています。それが記紀史観なのです。そして、わが国の少なくない庶民は、毎日毎日マスコミから流される情報により、まるで洗脳されてしまっているかのごとくです。そういった自らの首を絞めている勢力を、支持応援をしています。
 わが国の支配勢力は、北朝鮮との拉致問題も、今の中国との領土問題も、彼らの思惑のために利用しています。大陸諸国に国民が反発するように仕向けることで、自らの思惑を進めようとしています。ですから、決してそういった問題は解決しようとしません。政治的に利用するのみです。つまり、沖縄の基地強化を含めた軍事力の増強や憲法の改定のために利用しようというのが、彼らの思惑です。大陸諸国が、こんなに危険な国だから、軍事力を増強しているんだ、そんな国からわが国を守るためには憲法を変えなければいけないんだという口実つくりです。自らの勢力が過去2000万人もの人々を殺戮し、再びそういった惨禍を繰り返そうとしている動機をひた隠しにしながらです。
 今、本当にわが国の人々は、自らの国の支配勢力が何者で、いかなる思惑を持っているのかを見抜かなければ、再び奴隷のような状況に陥れられ、大陸の人々にも多大な被害を及ぼすことにもなりかねません。テレビや新聞の報道を鵜呑みにしていては、本当に取り返しのつかないことになってしまいます。一人でも多くの人々が、その本質を理解されることを切に願うものです。
 『維新』とは、支配体制を『維』持するために、『新』しいと装っているだけに過ぎません。本性は、明治憲法下への回帰であり、『明治維新』以降の大陸侵略の再現にあります。





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