<原発>
「どうして、原発事故の補償費用を、東電ではなく庶民が負担するんですか?」
政官財の原発推進勢力は、全国各地に原発導入のために巨額の利権を振りまきました。ただ、それらは、利権本体ではなく、あくまで、原発立地のための利益誘導に過ぎません。その本体は、電力会社の背後にいる各種金融機関といった大株主を含む談合勢力です。
東電のみならずあらゆる電力会社の大株主や貸付をしている金融機関には、日本政策投資銀行、三井住友銀行、みずほコーポレート銀行、日本生命、三菱東京UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行、住友生命、明治安田生命などが並びます。そして大株主として配当が得られるだけでなく、経営に直接関与もしています。東京電力では第1生命会長が、関電にはUFJ銀行元会長が、九電には日本興業銀行元営業部長が、それぞれ取締役になっています。そして、全国銀行協会会長は、衆院特別委員会の参考人として出席し、原発政策の維持を前提に、東京電力を存続させ、背後にいる金融機関の貸し手責任を問わないように訴え、その方向で「支援法案」が民主・自民・公明などにより可決されています。
一方、電力会社も、それらの金融機関の株主となっており、それらが全くの利益共同体となっています。さらに、東電は、TBSやテレビ朝日などの株主でもあります。東北電力は新潟放送、中部電力は中部日本放送、九州電力はRKB毎日放送の株主となってもいます。マスコミが電力会社に都合の悪いことを報道しないのは、こういった関係にあるからでもあります。原発を我が国に導入するために設置された原子力委員会の初代委員長の正力松太郎という人物は、A級戦犯で拘置所に入っていたのですが、アメリカのCIAのエージェントとなることで釈放されました。その正力は、日本テレビ初代社長であり、読売新聞社主、読売テレビ会長でもありました。
さらに、02年に原発の点検記録改ざん・隠蔽事件の責任をとって東電の会長と社長が辞任しました。その二人は、その後、フジテレビ、テレビ東京、鹿島建設、三井住友フィナンシャルグループ、三井住友銀行などの監査役を歴任しています。政財官マスコミの談合は底が知れません。
そして、そういった勢力から企業献金という賄賂を受け取っている政党や政治家は、彼らの言うとおりに法律を作成します。
政財官マスコミによる談合の政治の行き着く先が、東電が1円も出さなくても、国民の税金や電力使用者に賠償金を丸投げできる「原子力損害賠償支援法」というわけです。その本質は、東電とその談合勢力に対する支援法にすぎません。
そして、財政難や震災復興を理由に持ち出すのが、大資本が1円も負担しない消費税です。まったくこの「支援法案」と同じ手法です。また、今後の復興事業にも利権がからみます。甘い汁はそういった財界や談合勢力だけで独占し、そのつけは庶民に回すというのが、今の政治体制の本質でもあります。無責任の極みです。庶民にとっては、いわれのない冤罪を被っているようなもので、放射能の被害に遭っているだけでなく、その加害者の立場である原発推進勢力の尻拭いまでさせられようとしているのです。
国が行なった最大の福島原発事故対策は、東電とその談合勢力の免罪と、その被害補償費の負担をゼロにすることにありました。ですから、原発事故で、東電関係者の誰一人罪に問われることはありませんでした。
一部の財界本位に歪められている我が国の政治を変えるためには、その勢力から企業献金という賄賂にまみれた政党や政治家を国会から排除する以外に方法はありません。 そして、本当に、これからの日本をどうするのかが問われています。
|